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ストーリー:

STORY07 約束

歓迎の港についた竜也たちは地図を求めて骨董屋を巡り、その先々である少女と間違われた。地図を見つけられなった竜也たちは、翌日、港で開かれる骨董市に出向き、再びその少女と遭遇する。少女は男と言い争っており、その争いの渦中で剣をふるう花売りの女がいた。その女が持つ剣のさやには竜也の知る紋章が刻まれていた。しかし、花売りの女は、ただの花売りとは思えない剣さばきで少女を助けると、竜也がその剣の真相を確かめる間もなく去ってしまう。竜也たちは地図を求め、少女は未来がみえるという『真玉』を取り戻すため骨董屋へと向かう。結局、竜也たちは地図を手にすることはできなかったが、神師と呼ばれる父の力を受け継ぐ少女の力を借り、『砂漠』と『大きな塔』というキーワード手に入れた。竜也たちはそのヒントから「伝説の都市」へ向かうことになった。

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「どういうことだよ。さっき、聞いた時はこの船だって!!」

「はぁ、私にそう申されましても。その船は我々の後ろに停泊しておりまして、間違われたのではないかと」

カメリアの勢いに押され、客船マネージャーは額の汗を拭った。

「間違いじゃ済まないんだよ! 案内係りの人がこの船だって言ったんだから」

「はぁ……しかし…………」

「まぁまぁ、カメリア、仕方がないよ。非は僕らにあるのだし、一度、芸術の森に行ってから、伝説の都市に向かおう」

竜也はがっくりと肩を落とすカメリアに笑顔を見せた。

「伝説の都市行きの船は、歓迎の港からしか出ておりませんが」

「えっ、どうしてですか」

「どうしてと申されましても」

「じゃあ、僕たちはどうすればいいんですか」

歯切れの悪い客船マネージャーに竜也の頭も限界にきていた。

「はぁ……そういわれましても…………」

「それなら、一度戻ればいい。一度、歓迎の港に戻って、それから向えばいいだろう」

ユーイチが長い息を吐く。

「この船は一度、芸術の森につきますと、一ヶ月程滞在致しますが」

ユーイチの助け舟を蹴り飛ばすかのような客船マネージャーの答えに、カメリアは頭を掻きむしりしゃがみ込んだ。

「そんなところに行っていたら、どんどん遅くなるじゃんかぁ! 大体、この船、どれくらいで芸術の森につくんだよ」

「一週間ほどになります」

「い、一週間! 伝説の都市にいく船だっていつでるかわからないのに」

「確か、一月に2度程だったと思いますが」

「もうダメだ」

客船マネージャーの言葉にどんどん消沈してゆくカメリアを見て、竜也は客船マネージャーのせいではないと思いながらも、たまらずに言った。

「あの、申し訳ありませんが、黙っていてもらえませんか」

竜也の言葉に客船マネージャーが驚いたような顔を向ける。

「あなたが話に加わると話がまとまらなくなるんです」

竜也の言葉に客船マネージャーが心外そうな顔をして口を閉ざし、竜也はしゃがみこむカメリアの肩を叩いた。

「カメリア、急ぐ旅じゃないんだし、1カ月かかっても、3ヵ月かかっても問題ないよ」

「そんな悠長なこと言っていたら、誰かに先に見つけられちゃうかもしれないだろ」

「焦ってもしかたないだろう。船は出たんだ」

ユーイチがうんざりしたように息を吐く。カメリアがぼんやりと空を見上げてため息をはいた。

「だから、あのとき、香蘭は走ってきたのかな」

「うるさい奴だ。だったら、お前だけ泳いで帰れ」

「そんなの無理だよ」

ユーイチの言葉に、カメリアが顔を横に振る。

ユーイチが鼻から息をはいた。

「だったら、仕方がないだろう」

「あの」

「今度は何ですか!」

やっとカメリアが立ち上がったと思ったとき、またもや客船マネージャーが口を挟んできたので、竜也は余計なことはいわないでくれとばかりに睨み付けた。客船マネージャーがわずかに息を飲んで、か細い声を出す。

「芸術の森への客船は3便ございますので、到着後、数日で歓迎の港に向けて出航すると思いますが」

「さっき、一月に2度って言っていたじゃないですか」

「それは、歓迎の港から伝説の都市行の船でございます。歓迎の港と芸術の森をつなぐ船は3便ございますので、到着後、数日で歓迎の港に向けて出航することになります」

客船マネージャーに竜也の声が大きくなる。

「どうして、そんな大事なこと黙っていたんですか!」

「お客さまが黙っていろとおっしゃったので」

「もう、あっちに行っていてください」

竜也のイライラに対し、客船マネージャーは何もいわず、ゆっくりとおじぎをして去っていった。伝説の都市行きの船に乗るはずの竜也たちは、船舶案内の勘違いで芸術の森行きの豪華客船に乗船してしまったのだった。幸い手違いと言うことで乗船代は払わずに済んだが、伝説の都市につくのは、数週間先になりそうだった。

「これで誰かの手に地図が渡ったら」

「そのときはそのとき。くよくよ考えても仕方がないよ」

「竜也はいいよなぁ。いつも呑気で」

カメリアの言葉に竜也は肩を竦めた。確かに、カメリアの言う通りかもしれない。だが、宮廷での単調な生活を続けるには、無理矢理にでも自分をそこへ埋没させ、その生活に慣れるしかなかった。でなければ、竜也は毎日やってくる何の変化のないあの宮殿でどうにかなっていたはずだ。

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「それにしても、今日で3日か。毎日退屈だよなぁ。船に乗っている連中は毎日夜会だなんだって騒いでいるけど、よく飽きないよな。あれ? そういえば ユーイチは?」

カメリアは海を眺めてぼやいていた。

「ユーイチなら身体が鈍るからって、地下にある運動不足解消用トレーニングルームに行ったよ」

「ユーイチが鍛えていたら、この船に乗っている金持ち連中なんて驚いて白目になっちゃうじゃん」

「いや、白目どころか、皆、怖がって寄りつかなくなったってさ。おかげでトレーニングしやすいって喜んでいたよ」

カメリアがその様子を思い浮かべ笑った。

「ユーイチじゃないけど、俺も身体が鈍ってきそうだな。何か、サメが襲ってくるとか、そういうハプニングでも起こらないかな。ん? 竜也、どうしたんだよ。真剣な顔で、何、見ているんだ?」

「カメリア、大変だ。サメどころの騒ぎじゃない」

竜也は暗くなりはじめた景色の中にとんでもないものをみつけ、生つばを飲み込んだ。

「ちょっと、保安室に行ってくる」

「まてよ、竜也。どうしたんだよ。俺もいくよ」

慌てて甲板を飛び出した竜也に続いて、カメリアが後を追ってきた。

「なんですか、あなた方は!!」

ブリッジにいた船員が突然入ってきた竜也たちに驚き、立ち上がった。竜也はそれを制して、後方を映し出しているモニターを指差した。

「そんなことはどうでもいいんです! この船の後方を見てください!」

「どうでもいいって」

竜也は客船の最下層にある保安室の扉を勢いよく開くと、二人をとめようとする船員を無視してレーダーとモニターの前に進んだ。保安室では航海するためのありとあらゆる機械を装置し、24時間交代で船と周辺の海域をチェックしている。

「海賊船が近づいてきていることならわかっていますよ。でもご安心ください。この船には最新式の対海賊撃退砲が備えてつけてあります。そんじょそこらの海賊船では船に近付つくことはできません。それに海上保安は連絡一つですぐにも飛んできます。もちろん、この船内にもそこらの海賊に負けない屈強の元海軍部隊も50名ほどおります」

竜也は悠長にモニターを指差し笑顔を浮かべる船員につめより、モニターをもう一度指差した。

「よく見てください! 相手は普通の海賊団ではありません。サンピエトル・ドルニーエです」

「何ですって! まさか、そんな。彼らはこの海域にはいないはず」

竜也の言葉に船員が慌ててレーダーとモニターを比べた。

「モニターをズームしてください。黄色の三角旗にリンゴのマーク印が見えるはずです」

船員はいわれるままにモニターをズームし、息を飲んだ。顔がみるみる青ざめていくのがわかる。

「おい、まじかよ。サンピエトル・ドルニーエっていったら、最強の最悪の海賊団だぞ」

カメリアの言葉に頷きながら、竜也は画面を眺めた。アップにされたモニターには、黄色の三角形に赤いリンゴがはっきりと映っている。

「おい、無線で海上保安に応援を要請しろ!」

モニターを確認した船員が別の船員に叫んだが、竜也はそれを制した。

「無理です。間に合いません。彼らのスピードはそこらの海賊とは違う!」

「しかし」

まだ何か言おうとする船員を制し、竜也は早口に言った。

「全速力で逃げてください。まともにやりあって勝てる相手じゃありません」

「それこそ無理です。この船は全長200mです。スピードが出るようにはつくられていません!」

竜也の言葉に船員が首を大きく横に振る。

「とにかく撃墜準備だ。各自持ち場につき、すぐにも砲弾戦の準備を。それから、海兵部隊を甲板に戦闘準備させろ」

船員の一人が指示を出し、皆が迅速に動き始める。

「竜也どこに行くんだよ!」

竜也はカメリアの声を背に保安室の扉を開けた。

「ユーイチを呼んでくる。彼らは砲弾に当るような生易しい存在じゃない! 間違いなくこの船に乗り込んでくる。そうなれば戦闘になる」

「冗談じゃないぜ、そんなの」

「カメリア! 君は甲板で彼らの様子を見張っていてくれ。僕はユーイチを連れてからいく」

カメリアの叫び声を置き去りに、竜也はトレーニングルームへ急いだ。


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