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ストーリー:

STORY11 暗闇

地図を求めて「芸術の森」へ降り立った竜也たちは、かつて竜也たちを救ってくれた少年、聖と再開した。世界地図を手に入れるために竜也たちは、聖から森の焼き払いを手伝ってくれと頼まれた。カメリアとユーイチが反対する中、森の焼き払いの陰に政府の存在を知った竜也は、聖に力を貸すことに。国益を増やそうとする政府を相手に、自らの生死をもかけた竜也の行動が森を守ることとなった。だが竜也たちは地図を手にすることはできず、一緒に旅をしようと約束した聖も、竜也たちの元から再び姿を消してしまっていた。

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「聖くん、どこにいったんだろう。翔子さんは聖くんにもこの船のチケットを渡したっていっていたけど、結局、船には乗っていなかった」

芸術の森から歓迎の港に戻る船の中で、聖に会えるだろうと踏んでいた竜也たちの予想に反し、聖の姿はどこにもなかった。

「またどこかで会う」

ユーイチの言葉に竜也が視線を向ける。

「奴とは2度も偶然に会った。そういう奴とは嫌でもまた会う」

竜也の隣で静かに海の彼方を眺めていたユーイチが僅かに笑った。竜也はユーイチに笑みを見せ、遥か彼方まで続いてゆく海を眺めた。海は輝くばかりに広がっている。

「何だよ、二人揃ってこんなところにいたのか」

竜也とユーイチが部屋へ戻ろうとした時、カメリアが甲板へやってきた。

「部屋は窮屈だからな。それにおまえといるより静かでいい」

ユーイチがすれ違い様にカメリアに耳打ちする。

「ったく、ユーイチのそういうところが可愛くないんだよ」

「可愛くする必要はない」

カメリアがユーイチに突っかかろうとし、竜也がそれを制した。

「まあまあ、それより、カメリア、どうしたの? 何か、慌てていたみたいだけど。まさか、サンドルじゃないよね」

またも喧嘩になりそうな二人に竜也が冗談を言うと、カメリアが思い出したように竜也に振り返った。

「そうそう。忘れるところだった。いや、実はさ、今聞いたんだけど。あ、サンドルじゃないぜ。この船、歓迎の港に戻らないらしい」

竜也が目を丸くする。

「え? だって、芸術の森からでる船は歓迎の港にいく定期船しかないんじゃなかったの」

「そうなんだけどさ。歓迎の港にはたどりつけないって話」

「どういうことだ」

帰りかけていたユーイチが足をとめて振り返る。カメリアが首をひねり、竜也とユーイチは顔を見合わせた。

「貴様の話はいつも肝心なところがわからない」

「んだよ。いいじゃん。どこにいこうと。とりあえず、陸地につけば! それに、歓迎の港に戻ったって、聖の行き先がわかるわけじゃないし」

「そういう問題じゃない」

「ったく、ユーイチって結構、細かいよな」

「お前が大雑把すぎるんだ」

竜也は恒例となった二人の会話を余所に、シリウス三世から命じられたまちのことを思い出し、溜息をついた。

「なんだよ、竜也。溜息なんかついたりして」

「いや、何でもない」

竜也は慌てて首を横に振った。

「何でもないって顔はしてないけど」

「溜息をつくぐらいなら、言ったらどうだ」

カメリアの言葉にユーイチが続けざまに言う。

「そういえば、目指している目的地があるようなことを言っていたな」

ユーイチの視線に竜也は顔を背けた。カメリアが突然、竜也の肩に腕をまわしてくる。

「竜也は隠し事が下手何だよな。ばればれ」

竜也は二人の言葉に口をつぐんだ。

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自分は隠し事ばかりだ。それに目指すまちにいく理由がわからないのだから、二人に説明することすらできない。ユーイチが竜也の心を見透かしたようにいう。

「そこに何をしにいくのか、何があるのか聞くわけじゃない。ただ、行き先もわからないのでは、探しようがない」

「そうだよ。街の名前くらいわかってるんだろ。あてもなく旅してたら、いつまでたったってつかないぜ。それでなくても脱線しやすいんだしさ」

竜也は二人の言葉が心の底から嬉しかった。二人はいつも竜也のことを詮索しようとしない。それは竜也にとっては『嘘をつかなくてすむ』ということだった。

「実は、風の吹く町というところへいかなければならないんだ」

「風の吹く町? なんだ、聞いたこともないけど、ユーイチ知ってるか?」

「いや」

「竜也、それってどういうところだよ」

カメリアに聞かれ、竜也は顔を横に振った。竜也自身、そこがどこにあるのかわからない。ただ、とにかく行かねばならないことは確かだった。いや、シリウス三世が命じたから行くのではない。行かなければシリウス三世が3つの町へ行けといった、その理由がわからないからだ。シリウス三世にとってその町がどんな意味を持つのか、そんなことには興味はない。だが竜也にそこへ行けと言った、その意味が知りたかった。

「それが宮廷より東にあるということ以外は何もわからないんだ」

「わからない?! わからないって、だってそこに行きたいんだろ」

どう聞かれても竜也には答える言葉がない。竜也は下を向いた。

「ごめん」

「謝ってどうする」

「でもユーイチだって早く静かな町にいきたいだろうし、それに、カメリアだって」

「別に急いでなどいない。俺には帰らなければならないところはない」

ユーイチの言葉に、カメリアが胸を張る。

「それなら、俺だって同じだよ。それに賑やかな町にいる頃よりずっと楽しいしな」

竜也は二人の言葉に視線を落とした。このままでいいのだろうか。二人には本当のことを話すべきなのではないだろうか。

「んだよ。竜也らしくねぇな。いいじゃん。俺たちがイイって言ってるんだから。といっても俺たちが聞いたんだけどな」

カメリアが声を出して笑った。

「ありがとう」

「礼ならそこについてから言うんだな」

竜也の神妙な顔にユーイチが鼻で笑う。

「そりゃそうだ。結局、俺たち地図を手に入れられなかったんだから。たどりつけるかどうかわからないもんな」

ユーイチとカメリアはひと笑いすると笑うと船内へ歩き始めた。竜也は二人より少し送れて歩き出し空を見上げた。空は真っ青な色をどこまでも、どこまでも称えている。


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